RALLIART

RAI - 759/2000年11月7日
株式会社ラリーアート

2001年世界ラリー選手権(WRC)
三菱自動車/ラリーアート出場計画


三菱自動車/ラリーアートは2001年のFIA世界ラリー選手権(WRC)に、トミー・マキネン/リスト・マニセンマキ、フレディ・ロイックス/スヴェン・スミッツの2台体制で参戦。ドライバーズ、マニュファクチャラーズ両選手権のチャンピオン獲得を目指す。
WRCはモータースポーツの最高峰としてF1と並び世界タイトルが賭けられており、1月のモンテカルロに始まり、11月のグレートブリテンまで全14戦で2001年も開催される。各ラリーごとに雪、氷、泥、悪路、舗装路など開催条件が異なり、タイトルを獲得するにはドライバーはもちろんのこと車両にも特定の条件でのスピードだけでなく、オールラウンドな総合性能の高さが要求される。三菱はエースドライバーのトミー・マキネンが1996年から1999年まで4年連続ドライバーズチャンピオンを獲得し、1998年にはマニュファクチャラーズチャンピオンも獲得するなど、これまで5回のWRCタイトルに輝いている。 2000年のシーズンにおいてもモンテカルロラリーで優勝するなど、好成績を収めてきた。2001年のWRCに関しては、開幕戦モンテカルロから改良型ランサーエボリューション・グループA仕様車を投入。シーズン後半にはランサーセディアをベースとした三菱初のWR-Car(ワールドラリーカー)を出場させる。

チーム体制
チーム名 マールボロ三菱ラリーアート
チーム総監督 木全 巌
チーム監督 アンドリュー・コーワン(ラリーアート・ヨーロッパ 会長/イギリス)
チームマネージャー ジョージ・ドナルドソン(ラリーアート・ヨーロッパ/イギリス)
ドライバー トミー・マキネン(フィンランド) フレディ・ロイックス(ベルギー)
コ・ドライバー リスト・マニセンマキ(フィンランド) スヴェン・スミッツ(ベルギー)
競技車両 前半戦 三菱ランサーエボリューション(グループA仕様)
後半戦

三菱ランサーエボリューションWR-Car(ワールドラリーカー仕様):サンレモラリーから投入予定



「マールボロ三菱ラリーアート」ドライバーズプロフィール



T・マキネン
トミー・マキネン (Tommi Makinen)
1964年フィンランド生まれ。他のフライングフィン同様、免許取得前から農場でドライビングを覚え、1987年フィンランドでWRCデビュー。ランチア、VWなどを経て1990年のWRCで三菱ギャランVR4を駆り、グループN3勝を記録。その後、マツダ、日産、フォードのワークスチームで走り、1994年サンレモラリーで三菱に加入。1995年から三菱のエースとしてWRCに参戦、1996年には5勝をあげて初のドライバーズチャンピオンに輝く。続く1997年4勝、1998年5 勝、1999年4勝を挙げ、前人未踏の4年連続チャンピオンを達成している。


リスト・マニセンマキ (Risto Mannisenmaki) コ・ドライバー
1959年フィンランド生まれ。1987年、トミー・マキネンと組み、ランチアで1000湖ラリーに出場。それ以後はアマチュアとしてラリー参戦を続けるが、1996年、タピオ・ラウッカネンとフィンランド選手権F2チャンピオンを獲得。1997年もラウッカネンと組み、フィンランド選手権、英国選手権に参戦。1998年からはセッポ・ハルヤンヌ引退の後を受けてマキネンのコドライバーとなり、1998年、1999年と2 年連続でコドライバー・チャンピオンを獲得。




F・ロイックス
フレディ・ロイックス (Freddy Loix)
1970年ベルギー生まれ。父親の修理工場を手伝いながらカートを始め、80年代後半にはベルギー選手権で活躍。その後ラリーに転向し、1991年は三菱ギャランVR4でベルギー選手権に出場。1992年は三菱ベルギーのドライバーとなる。その後、オペルに移り、WRCデビュー。1996年からはトヨタに乗り、トップクラスのスピードを見せてトップドライバーの仲間入りを果たす。1999年に三菱入りし、マキネンのチームメイトとなった。


スヴェン・スミッツ (Sven Smeets) コ・ドライバー
1972ベルギー生まれ。ロイックスがまだ世界に羽ばたく以前、ベルギー選手権時代の1995年にロイックスとコンビを組み、それ以来ロイックスにとってはなくてはならない存在となったコドライバー。


ジョージ・ドナルドソン (George Donaldson) チームマネージャー
1958年イギリス生まれ。ドライバーとしてラリーを始め、1987年RACラリーでグループN優勝など活躍。その後はマネージメント畑に転身。90年代前半にトヨタのコーディネーターを務め、1995年にフィル・ショートの三菱への移籍を受けてトヨタのチームマネージャーに。以後2000年までトヨタに在籍。2001年からフィル・ショートの引退の後を受け、三菱、「マールボロ三菱ラリーアート」のチームマネージャーとなる。


Photo

三菱ランサーエボリューションVI
マールボロ三菱ラリーアート
T・マキネン / R・マニセンマキ
(2000年 WRC第5戦 カタルニアラリー)

出場車両と特徴

1.ランサーエボリューション・グループA仕様車【2001年前半戦出場車両 】
2001年WRC前半戦に出場のランサーエボリューション・グループA仕様車は以下の改良によって、戦闘 力の向上を図る。尚、改良項目には後半戦に投入するWR-Car(ワールドラリーカー)に搭載することを前提に開発された新コンポーネントの最終確認走行を兼ね装備する等、積極的な姿勢で臨む。
  1. 過給圧の立ち上がり特性とスロットル開度に対するトルク特性のマッチングを見直し、更にエンジン レスポンスを向上。
  2. フロント/センター/リヤ各デフの統合制御により、旋回性能を向上。
  3. 左右輪の独立制御による旋回時の駆動力増大。
  4. ドライブシャフトのジョイント及びサスペンションジョイントの変更によりサスペンションストロークを増大、ロードホールディング並びに駆動力損失の低減。
  5. リヤ・アップライトのサスペンションアーム取り付け点を見直し、スクワット特性を改善、旋回時の 加速性能並びに制動安定性を改善。
  6. フロント・スプリングの形状並びに材質変更により、フロント・サスペンションストロークを増大、 前輪のロードホールディングを向上。
  7. サスペンションジオメトリーの見直しを実施、旋回時の安定性並びにタイヤの摩耗を低減。
  8. セミ・アクティブサスペンションの採用によるロードホールディングと車体姿勢の安定性を向上。
  9. ABSを活用した制動並びに駆動性能を向上。
  10. フロントクロスメンバー等各種コンポーネントの軽量化を実施、前輪分担荷重を低減し、旋回性能を向上。
  11. 油圧シフトの採用による、操作性の向上。

出場車両と特徴

2.ランサーエボリューションWR-Car(ワールドラリーカー)仕様【2001年後半戦出場車両 】
ランサーセディアをベース(ファミリー:25,000台)に従来のランサーエボリューション・グループA仕 様車で実績のあるエンジン等のコンポーネントを活かしワールドラリーカー規則に従ったWR-Car(ワー ルドラリーカー)を開発。主な仕様は以下の通り。
  1. 新型ランサーセディアは現行車に比べ90mmホイールベースを延長している。現在のランサーグル ープA仕様車は旋回時に前輪のコーナリングフォース(C/F)を最大に得ることができる独自の4 WDアクティブ制御を採用しているが、さらに鋭いターン・インと安定した旋回を可能にするには、 ロングホイルベース化が一層有効になる。 ますます高速化するWRCに於いて直進時の安定性の確保に優れたロングホイルベース車が次世代を 担うものと考えている。


    現行ランサー ランサーWR-Car スバル フォード プジョー
    ホイルベース 2,510mm 2,600mm 2,520mm 2,615mm 2,448mm

  2. リヤサスペンションは新設計ストラットサスペンションを採用、同時にストロークの増大を図る。

    【ストロークの増大】
    WR-Car(ワールドラリーカー)計画値

    バンプ リバウンド 全ストローク
    フロント +25mm - 5mm +20mm
    リ ヤ +40mm +20mm +60mm
    (現行グループAランサーとの差)

  3. エンジンの回転系部品の徹底した軽量化を実施、レスポンスの向上を図る。
  4. サスペンションのアクティブ制御による駆動・制動時の安定性の確保を充実。
  5. インタークーラー及びラジエーターレイアウトの最適化による冷却性能の向上を行うとともに吸気系 への水噴射を実施し、出力の増大を図る。


三菱ランサーエボリューション グループA 2001年仕様
全長 4350mm エンジン 4G63型
水冷直列4気筒DOHC16バルブ
インタークーラー付きツインスクロールターボ
ポスト・コンバッション・コントロール・システム(PCCS)
全幅 1770mm
ホイールベース 2510mm
トレッド(前) 1510mm
トレッド(後) 1510mm
ボア×ストローク 85.0mm×88.0mm 燃料供給装置 ECIマルチインジェクション (電子制御燃料噴射)
総排気量 1997cc
最高出力 220Kw(300ps)/5500rpm 駆動方式 フルタイム4WDシステム アクティブコントロールトランスファーユニット
最大トルク 540Nm(55kgm)/3500rpm
クラッチ カーボントリプルプレート サスペンション 前 マクファーソンストラット
タイヤ ミシュラン サスペンション 後 マルチリンク
ホイール OZ(エンケイ) ブレーキ 前 ベンチレーテッドディスク8ポットキャリパー
デフレンシャル 前・後 アクティブコントロールロ ッキングシステム ブレーキ 後 ベンチレーテッドディスク4ポットキャリパー
ステアリング形式 ラック&ピニオン(パワー アシスト付き) ダンパー オーリンズ・アジャスタブルシステム


2000年世界ラリー選手権(WRC)三菱車、主な戦績
Rd ラリー名 総合成績 ドライバー
第1戦 モンテカルロラリー 総合優勝 T・マキネン
総合6位 F・ロイックス
Gr-N優勝 M・ストール
第2戦 スウェディッシュラリー 総合2位 T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 J・パソネン
第3戦 サファリラリー リタイヤ T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 C・メンヅィ
第4戦 ポルトガルラリー リタイヤ T・マキネン
総合6位 F・ロイックス
Gr-N優勝 M・カンポス
第5戦 カタルニアラリー 総合4位 T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 U・ニッテル
第6戦 アルゼンチンラリー 総合3位 T・マキネン
総合5位 F・ロイックス
Gr-N優勝 G・トレレス
第7戦 アクロポリスラリー リタイヤ T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 G・ポッゾ
第8戦 ニュージーランドラリー リタイヤ T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 M・ストール
第9戦 フィンランドラリー 総合4位 T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 J・パソネン
第10戦 キプロスラリー 総合5位 T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 G・トレレス
第11戦 ツール・ド・コルス リタイヤ T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 M・ストール
第12戦 サンレモラリー 総合3位 T・マキネン
総合8位 F・ロイックス
Gr-N優勝 G・ガリ
第13戦 オーストラリアラリー 失格 T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 G・トレレス
第14戦 グレートブリテンラリー 総合3位 T・マキネン
リタイヤ F・ロイックス
Gr-N優勝 M・ストール


2001年WRC開催予定
Rd
ラリー名
開催予定日
第1戦
モンテカルロラリー 1月18〜22日
第2戦
スウェディッシュラリー 2月8〜11日
第3戦
ポルトガルラリー 3月8〜11日
第4戦
カタルニアラリー 3月22〜25日
第5戦
アルゼンチンラリー 5月3〜6日
第6戦 キプロスラリー 5月31〜6月3日
第7戦 アクロポリスラリー 6月14〜17日
第8戦 サファリラリー 7月12〜15日
第9戦 フィンランドラリー 8月23〜26日
第10戦 ニュージーランドラリー 9月20〜23日
第11戦 サンレモラリー 10月4〜7日
第12戦 ツール・ド・コルス 10月18〜21日
第13戦 オーストラリアラリー 11月1〜4日
第14戦 グレートブリテンラリー 11月22〜25日


2000年マニュファクチャラーズポイント
1位
プジョー 90
2位
フォード 88
3位
スバル 70
4位
三菱 39
5位
スコダ 8
6位 セアト 8
7位 ヒュンダイ 5


2000年ドライバーズポイント
1位
M・グロンホルム 49
2位
R・バーンズ 44
3位
C・マクレー 43
3位
C・サインツ 43
5位
T・マキネン 32
6位 G・パニッツィ 21
7位 F・デルクール 19


FIA世界ラリー選手権 (WRC)
WRCは1973年に開始されたシリーズ戦であり、現在、FIAが世界タイトルを与えているのはF1とWRCのみ。レースの最高峰がF1であるように、ラリーの最高峰がWRCという位置付けとなっている。WRCにはドライバーズ選手権とマニュファクチャラーズ(自動車メーカー)選手権が設けられ、それぞれの年間チャンピオンを決定する。平均的な走行距離は1イベント当たり1100kmほどで、その中に350kmから400kmのスペシャルステージ(SS)が設けられ、SSのタイムによって勝敗が決められる。年度によって開催数、開催国の変化はあるが、97年からは年間14戦として定着し、2001年のWRCも14戦で開催。ヨーロッパを始め、アメリカ大陸、アフリカ大陸など開催地もバラエティに富み、参加者は他の競技者とだけでなく、自然や天候を相手に過酷な戦いを強いられることになる。


WRC参加競技車両の分類
  1. ワールドラリーカー(WRカー)
    連続する12ヶ月間以内に2万5000台以上生産された4座以上の車がベース。2WDの4WD化、NAエンジンのターボ化、リヤサスペンションの形式変更など大きな改造が認められている。さらに同じメーカーでグループA公認をされている他のエンジンと積み替えることまで認められる。
  2. グループA
    連続する12ヶ月間以内に2500台以上生産された市販車がベース。各部に大幅な改造が許されているが、WRカーと異なり基本的なレイアウトやデザインの変更は認められず、WRCクラスのトップマシンとするには市販車の時点からターボエンジンや4WDシステムを備えている必要がある。
  3. グループN
    連続する12ヶ月間以内に2500台以上生産された市販車がベース。グループNのホモロゲーション(公認)を取得するにはグループAのホモロゲーションも取得している必要がある。市販車に安全装備など最低限の改造を施したカテゴリーで、エンジンやギアボックスなど基本コンポーネンツに一切の改造は許されず、市販車本来の性能が問われるカテゴリー。


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